八洲庵二十四節気・教室の彩たち


2月19日 雨水

   

 「雨水」は雪が雨に変わり、氷が融けて水になる。

「氷雪融け雨水温む」「私の耳は貝のから 海の響きをなつかしむ」(堀口大学訳、コクトー作)
卒業を前に動物園、そして三崎海岸に遊んだ。
早春の海は冷たくも、透明の中に春の命を宿していた、「あどけなき 足跡見しや アメフラシ」
下宿に戻った夜、「おもひでに 折鶴おりし 今宵かな」と日記に記す。
若き日の遠い思い出である。

(お菓子:栗饅頭 ばってんや)


2月4日 立春

  

「立春」は春の始まり。「春の気始めて立つ」

「ひさかたの 天香山 この夕べ 霞たなびく 春たつらしも」(柿本人麻呂)
「照りもせず 曇りもはてぬ 春の夜の 朧月夜に しくものぞなき」(大江千里)
冬が終わり、大地に生命の息吹にあふれ、大気にも精気がみなぎる、春の始りの日。
街で、駅で見かける受験生の後ろ姿に、「頑張れよ!」と思いを飛ばす時でもある。

(お菓子:下萌え ばってんや)


大寒 1月20日

    

「大寒」は寒さが最も厳しくなる。

「珍しき 春にいつしか 打ち解けて まづ物いうは 雪の下水」(源頼政)
平清盛の横暴は、宮中の鵺退治で有名な源頼政を苦しめた。やがて高倉宮以仁王の令旨を奉じ平家打倒の義兵を挙げた。心中の思いが歌からも伺える。文武両道に優れた「頼政」は、世阿弥が能にも謡あげた。時期尚早の挙兵に敗れた頼政は息子と共芝に扇を敷いて自害する。今は宇治平等院の境内の中、慰霊碑が立つ「扇之芝」に眠る。「雪の下水」は、大寒にこそ相応しい歌であり、闘志を秘めた男性的な響きが胸を打つ。

(お菓子:梅 ばってんや)


小寒 1月6日

    

「小寒」は寒の入り。寒さがましてくる。

「通りますと 岩戸の関の こなたより 春へふみ出す けさの日の足」(智恵内子)
作者は天明狂歌の女流歌人。「通ります」は当時関所を通る通行人が言った決まり文句。天の岩戸の神話をふまえ、新年の足(月日の歩み)が、年の変わり目の関所を新春へ一歩踏み出す図である。

「瑞気とはこれ初釜を昇る湯気」 (山口誓子)
八洲庵の茶の友も6日に開催された「初釜」で和気あいあい集い、ばってんやお手製のはなびら餅で祝い、お稽古への気持ちを新たにした次第。

(お菓子:はなびら餅 ばってんや)